アフリカ最大級の音楽フェスティバル

 子供のころ、通学路に立ち入り禁止と立て札のあるわりと大きな畑があった。

ある日の下校途中、何のことは無いだろうとそこへ友人と柵をすりぬけて入ってしまった。そこは、まだ土を耕している状態の畑で、何を育成しているのかはわからないけれど、広々と規則正しい土の凹凸が長い縞をつくっていた。そばには水の流れが緩やかな川があった。

畑の脇には大人が入れるか入れないかくらいの落とし穴があった。友人と私はランドセルを置き、好奇心でその洞穴に入り込んだ。

飛び込んだものの、それ程の深さはなく、空洞は真横にひとまわり小さくつながっており、その空洞を今度は四つん這いになって進んだ。

全くの暗闇ではなく、向こう側が丸く光っていた。ドキドキ恐がりながらもずんずん進んだ。

穴は、奥に進むにつれてどんどん狭く窮屈になっていった。すると、だんだん水の音が聞こえてきて、とうとう丸い光の出口に首を突っ込むと、そこは、さっき畑のそばにあった川だった。顔のすぐ真下に少し生臭い水がゆっくりと流れている。川の側面に顔をひょっこりと出している状態なんだと気づく。

そのまま、後ずさりして洞穴のいちばんはじめのポイントに戻り、何とか地上に戻った。

私と友人は「大冒険だったねー!」などと興奮しながら黄昏時の下校ルートに戻った。

 

要するにあれは畑の用水路を作る途中だったのだ。

おそらくあの造りからすると、コンクリートだの地盤だの土木工学全く無視した、ただ何かで土を掘り起こしただけの、畑の所有者が自由に作った洞穴で、もしもどこかが緩かったら生き埋めになってもおかしくなかったんじゃないかなと思う。「立ち入り禁止」という札や柵は畑を守るためだったのではなく、その脇にある落とし穴のような造りかけの用水路に、通学路の子供を寄せ付けないためだったのではないだろうか。

 

あの時はただただ愉快にはしゃいでいたけれど今思うと恐ろしい、ひょんなことからふと思い出してしまったゾッとしてしまう遠い子供の頃の記憶。